「管理人X」(1)

 世の中は腐りきっている。2028年5月10日、和也は思っていた
 
 俺が生まれたときから丁度20年、ずいぶんと便利さは増して、何もかもが機会で操作。

 そんな時代になっていた。車だって操作しなくても勝手に動いてくれる。

 だが、便利さが増した分、環境問題はより一層酷くなっていった。

 温暖化やら酸性雨やらと、テレビではよく騒がれている。

 そして最近、また新たな問題が生まれていた。

「先ほど入った情報です」

 平然とした顔で、テレビの向こうでアナウンサーは言う。

「つい先ほど、大統領が射殺された模様です」

 これが新たな問題だ。世の中が気に入られなければ終わり。この世界が気に入らなければ大統領を殺せばいい。

 そんな考えを誰もが持っているこの世の中、既に何百人と大統領・大統領候補が殺されていた。

 だからアナウンサーは全く動じていない。最近では「誰が1年間持つのか」と、賭けまで行われている。

 ただ、全国民がそんな考えを持っているかと言われれば、そうではない。

 現に俺は反対派だし、まだ何万人と反対派はいると思う。

 だが、もし今堂々と

「俺は反対だ」と言えば、すぐに殺されてしまうだろう。

 だからこの世の中は成りたっている。

「やはり警察に動く気配は見られません」

 警察も何も言えないでいる。すでに諦めているのだ。

「この大統領は、1ヶ月半の政治活動でした久しぶりの、1ヶ月半更新です」

「1ヶ月半・・・長いほうだな」

 大統領の名前は公表されない。殺されないための策らしいが、今の情報化社会のこと、無駄な策である。

「何で、こんなにも短いのかなぁ。俺ならもっと長くやって見せれるのに」

 最近はよく、そんな事を思っている。ただ、俺は批判するだけだ。

 本当に大統領なんかになろうなんて思ってない。ただの望み。誰かこの世界に、救世主がほしいだけ。

「速報です!また、新たな犠牲者が出ました。」

 それは、例の連続殺人事件の速報だった。最近はよく、報道されている。

「腐っている・・。」

 この世はやっぱり、腐っているんだ。

「情報が入り次第、またお伝えします」

 またふと、思う。

「これだって、俺が上に立てば、直してやるのに。」

 もう一度言っておく。これは、単なる望み。


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