「管理人X」(2)

 それは突然の事だった。

 2007年5月10日

 人間とは、どうしてこんなにも醜いのだろう。

 テレビで犯罪を犯した奴が映ると、すぐにばかにしたがる。

 人のことばかり言ってないで、自分を見たらどうなんだ。

 人の醜いところばかり注目して、自分はどうなんだ。

 草を踏んだり、虫を捕まえたり。ぜーんぶ、地球にとって迷惑な事なんだ。

 草だって虫だって、人間と同じ生き物なんだ。どうしてそうやって、

 簡単に殺してしまうのだろう。

 どうして簡単に、人間を利用してしまうのだろう。

 緑のソファーに座った俺は、右側にある小さな窓から外を見た。

 この町には人口が少なく、あまりこの道を通る人はいない。

 だから、俺が千夏と運営しているこの店には、客なんてめったに来なかった。

 だが、今日は何か特別な事が起こりそうで、ドキドキしながらもどこか、胸騒ぎがしていた。

次の瞬間、風のように早く、「シュンッ」と音を立てて窓の向こうを何かが通った気がした。

 それと同時に、店のドアが勢いよく開けられた。

「はぁ・・はぁ・・・。」

40代後半ぐらいの男。何があったのかはわからない。けど、とてもすごいものに追われている気がした。

「ど・・どうしたんですか?大丈夫ですか?」

男は大きく深呼吸をして、呼吸を整えた。その後、目を凝らして周りをじっと眺めた。

 安心したのか、「ふぅ。」と息を吐いて、ひざをついた。

「助かったぁ。」

やはり、誰かに追われていたのだろうか。ぼろぼろの服。やせているように見えるその体。

 借金でもしているんだろうか。だからヤミ金とかにおわれて・・・。

「実は、君に少し用事がある。」

「ぇ?俺ですか?」

 単に追われて逃げているものだと思っていた俺には、少し予想外の出来事だった。

「追われるのもしょっちゅうでな。今日も狙われてたみたいだ。」

 狙われていた・・・?俺が顔をしかめたからなのだろうか。男は全てを話し始めた。

「地球は、人間という生物が生まれて、やっとここまで進化してきた。

 だが、人間は自分の欲望を満たすために周りを利用するようになった。

 私には、こんな人間の考えがわからない。」

 自分と同じ考え・・・。それが、その男の第一印象だった。

「確かあれは、1978年のことだった。いろんな人間に裏切られ、

 一番の頼りだった家族も、交通事故で一瞬にして全員亡くした。」

「全員!?」

「あぁ。信じれるものも無く、気力もなくなって何度も死のうとした。

 そんなとき、ある一人の男に出会ってしまったんだ。」

「1人の男・・・出会ってしまった?」

この男の出会い。それは、俺の墜落人生の合図だった。

今は見える。あの時手招きをしていた、管理人の姿を。


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